スポーツビジョン概要と当協会の歩み

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スポーツビジョン概要と
当協会のあゆみ

スポーツビジョン研究の歴史

 1970年代の後半、アメリカにおいて「スポーツと視覚」の研究が盛んになり、1978年にAOA(American Optometric Association)の組織の中に「Sports Vision Section」が作られて、スポーツと視覚に関する本格的な研究が開始されました。以来、大リーガーの視覚検査が続けられています。更に1984年には、アメリカにおいて、もうひとつの研究組織「NASV」が誕生しました。
 1986年に、故 白山晰也氏(株式会社東京メガネ・前社長)の招きでAOAからフィリップ・スミス氏が来日し、スポーツビジョンの講演をしたのが我が国のスポーツビジョンの始まりです。

 

スポーツビジョン研究会発足 スポーツビジョン測定の開発

 1988年に、石垣尚男(愛知工業大学)、遠藤文夫(株式会社東京メガネ)、真下一策(日体協スポーツドクター)の3人が中心になって「スポーツビジョン研究会(Japan Sports Vision Academy)」を設立し、研究を開始しました。

 

 当初はアメリカからのコンセプトに従って14の項目でスポーツと視覚の分析を開始しましたが、その後我々独自の測定方法を開発、研究の結果、現在は次の8項目で分析をおこなっています。このうち、①~⑤は中心視野における能力、⑥~⑧は眼球運動がメカニズムの中心となる能力です。

 


① 静止視力  ② KVA動体視力  ③ コントラスト感度  ④ 深視力  ⑤ 瞬間視


⑥ DVA動体視力  ⑦ 眼球運動  ⑧眼と手の協応動作



 今までに測定・分析した選手は約3000名になりますが、その中には、野球・サッカー・テニスなどの球技の他、剣道・空手・ボクシングなどの格闘技、カーレース・競艇・オートレースなどのレーサーが含まれます。研究の結果、視覚の能力には個人差があって、競技力の優秀な選手は優秀な視覚を持つことが分かりました。また、競技種目によって必要な視機能に差があることも分かりました。

 

 研究成果は主として「日本臨床スポーツ医学会」「日本体力医学会」「日本体育学会」などの学会で発表してきました。その他に、我々は毎年一回「スポーツビジョン研究集会」を開催して、会員の研究発表と意見交換の場としています。

 

 2013年8月に「第20回スポーツビジョン研究集会」を開きましたが、研究会の登録会員も500名を超えています。

 

視力矯正

 静止視力(視力)は視覚の基本となる能力です。研究の結果、球技では両眼視力1.2~1.5が必要であることが分かりました。視力が不足している時は「視力矯正」が必要になります。その方法としては、

① メガネ ② コンタクトレンズ ③ 角膜手術 ④ オルソケラトロジーがありますが、
選手の眼の状態、年齢、競技種目と競技環境などを考慮して選択します。視力不足を適正に矯正すると、静止視力と相関のある「KVA動体視力」「コントラスト感度」「深視力」が、それぞれ自動的に改善される可能性がありますので、視覚能力を向上させる第一歩は、視力不足に対する視力矯正です。


 小学生の年代は「トレーニングのゴールデン・エイジ」と呼ばれているように、スポーツには大変重要な時期ですが、我々は、この年代の視力矯正の方法として、大切な眼をスポーツ外傷から保護する目的も兼ねて、安全な素材の「(度付き)ゴーグル」の使用を薦めています。
平成15年に「スポーツと視力に関するアンケート調査」をおこなって、スポーツにおける視力の実態を調査しましたが、その10年後の平成25年に再び同じ内容のアンケート調査をおこないました。二度のアンケート調査で視力矯正の10年間の変遷が分かりました。

 

ビジョントレーニング

 競技力向上を目的としておこなう視覚のトレーニングを「ビジョントレーニング」と言います。眼球運動がメカニズムの中心となる視機能(「DVA動体視力」「眼球運動」「眼と手の協応運動」)については、高いトレーニング効果が期待できます。また、中心視の能力である「瞬間視」や「深視力」も認識の方法を工夫することでトレーニングすることが可能です。視機能のトレーニングをするだけで競技力が向上したという研究発表もあり、スポーツビジョン研究集会でも多くのビジョントレーニングの方法や効果が発表されています。

 

優秀なスポーツ選手を育てる

 スポーツのトレーニングには、最もトレーニング効果が期待できる年齢というのがあります。これを「トレーニングのゴールデン・エイジ」と呼びますが、8~12歳までの、ちょうど小学生の年代がこれに相当します。この時期は、脳において最も盛んに神経回路を展開する年代なのです。この時期に、色々な視機能も最も発達すると言われています。DVA動体視力も、この時期の直後、15~20歳が能力のピークです。ゴールデン・エイジにいかに効率よく視覚を鍛えるか?この年代の「外遊び」がプラス要素で、家の中にこもっての「テレビゲーム」がマイナスの要素であることは誰もが気付くところです。

 

 視覚の能力さえ高ければ競技力が優秀になるか…… と言うと、そうではありません。高い視覚能力は優秀な競技力の「必要条件」ではあっても「十分条件」ではないのです。高い視覚を活かすための、良い「見方・見るスキル」が必要なのです。何を考えながら見るか、見えたものから何を予測するか。優秀な視覚に高い見るスキルがそろって、はじめて優秀な競技力が得られるのです。

 

 ロンドン・オリンピックで日本は38個のメダルを獲得しました。しかし、その内容を見ると、その多くは水泳や格闘技などの、それほど視覚を必要としない種目で得られています。
我々の進まなければならない道も、まだ遠いようです。

 

当協会 代表理事 真下一策

真下一策(ましも いっさく)

【 経歴 】
1945年 2月生まれ
1970年 広島大学医学部卒業、第一外科入局
1980年 大森赤十字病院・外科・副部長
1987年 千葉・井上記念病院・外科医長
1988年 スポーツビジョン研究会設立(代表)
1999年 大分大学医学部眼科学教室研究生
2007年 八王子そごう眼科クリニック・院長
2012年 西武池袋店眼科クリニック・院長

 

【 スポーツ関係 】
1971年 東洋工業サッカーチーム(現サンフレッチェ)・ドクター
1980年 広島カープ・チームドクター(首都圏担当)
1983年 日本体協・スポーツドクター(第一期生)認定(No.27)
1985年 マツダオート東京・バスケットボール・チームドクター
1987年 千葉銀行・アメリカンフットボール・チームドクター

①日本ユースサッカーチーム・ドクターとしてヨーロッパ各地、及び東南アジア遠征に帯同
②野球(プロ・アマ)、Jリーグ、バスケットボール、卓球、カーレース、競艇、オートレースその他の選手や審判員のスポーツビジョン検査と分析を行い、主に「日本臨床スポーツ医学会」で発表
③平成15年日本臨床スポーツ医学会で教育講演「スポーツと視覚」
④平成17年中四国眼科学会で講演「スポーツと視覚」
⑤スポーツビジョンの普及を目指して各都道府県医師会や競技団体で講演を続けている